ブルキナファソのモシ族による、女性の像をのせた仮面です。この仮面は生前村人に尊敬された女性の葬儀に用いられます。仮面は、長寿を全うし、聡明であり、一族の祖先達に並ぶ地位に昇った女性を讃えています。仮面は生者と一族の祖先の精霊とをつなぐ存在です。 仮面の作者は、最高の肉体美を誇る女性として像を描いており、その裸体は瘢痕文身(はんこんぶんしん)で装飾されています。瘢痕文身とは、体に傷をつけ、民族独自の文様を刻む身体装飾で、伝統的に女性が第一子を出産した後にほどこされます。モシのおしゃれである鶏のトサカのような髪型をし、金属製の腕輪をはめ、モシの「理想の女性像」を表しています。 仮面の中央に走るあぜ、楕円形の顔といった特徴をみると、この仮面はヤテンガ地域からきたことが分かります。この地域の仮面様式は、マリのドゴン族のものに似ており、彼らの歴史的なつながりを映しています。15世紀にモシ王国が勃興した時、この地域に住んでいたあるものはモシに吸収され、またあるものは現在のドゴンが住むバンディアガラの断崖へ逃れました。