SOLOLAのはじまり
アフリカの大地を踏んだ21歳の冬、大学生の私は染織の産地巡りが休暇の楽しみでした。
ナイジェリアの喧噪をやり過ごし、ニジェールの砂漠をくぐり、砂漠の都マリへ。
車窓からの景色はどれも土の色で、貧しく何もないように見えるのに、確かに何かがあるのです。
がらんとした風景のなか見えてくるのは人々の生活でした。
民族衣装の日常着の鮮やかさ。
使い古しの染布が、かくも美しく見えるとは。
女は忙しそうに鍋を炊き、子は傍らでよちよち歩く。
市場にあふれる熱気と騒音。
たくましさが肩と肩をぶつかり合わせる。
旅の途中、私は西アフリカの布に出会いました。
手紡ぎの綿布、なまめかしく光る藍に浸った布、渇いた大地が憑依したような泥染め。
ゆったりと流れる時間の中で、布たちはいにしえの空気を纏って大人しくそこにいました。
それからはアフリカの美術•工芸にも興味が広がってゆきました。
ただ、現地の市場に並ぶものは「原石」が多く、あと少しで宝石になりそうなものばかり。
また、美しい伝統染織は衰退し低品質な布が市場に出回っていました。
私は生産者を探しあて、彼らとものづくりを始めることにしました。
アフリカの手仕事を生かし現代の暮らしに合う品を作っています。
ものづくりでアフリカと繋がり、現地の美にSOLOLA独自の解釈を加えた
「新しいアフリカの形」を皆様に発信いたします。
SOLOLAのこと
ブランド名のSOLOLAにはコンゴ川流域で使われるリンガラ語で「話し合う」という意味があります。
産地に足を運び私のデザインや昔の名品をもとに生産者と相談し、理想のものを作り上げています。
彼らの持つ歴史と伝統技術に敬意を払うと共に、現代だからこそできる新しい事へも挑戦しています。
SOLOLAのこだわりはふだん使いのものを作ることです。
人の暮らしと共にあることが、本来の工芸品の在り方だと考えます。
時代に合ったものづくりは必要で、人のために作られた工芸品は人に必要とされてこそのもの。
そうすることが結果的に技術継承に繋がるという信念のもと活動しています。
SOLOLAは伝統継承、文化保存を重視する上で、このような考えに至りました。
またアフリカの生産者の多くは貧しく、手工芸は生活を支える収入源としてなくてはならないもの。
けれども、アフリカの穏やかな時間の中に暮らす彼らに、製品を約束の日までに作ってもらうことは易しくありません。
ただ、良質の品を期日までに作り販売する力を持つ事が私にも彼らの未来にとっても有益で、
お金や物の援助だけでは解決しない問題の答えはここにあるとも思っています。
当ブランドでは皆様にご満足頂ける品質を求めて、生産者と共に技術向上に取り組んでいます。
けれど、何においてもアフリカ美術•工芸が持つ衝撃的なまでに斬新な感性、
鮮烈な色とパワー、そして思いもよらぬおかしさを皆様に感じて頂ければ幸いです。
SOLOLAによる新解釈のアフリカの美をどうぞお楽しみください。